シヴァーナンダ・ヨーガのマントラ

Sitting Budha

インドでのTTCを修了してから丸一年が経とうとしています。
そもそも教える気なんてこれっぽっちも無くTTCに参加した私でしたが、
この一年の間に10回以上もクラスをシェアさせていただく機会に
恵まれました。ご縁をいただいた友人やYoga仲間に感謝しています。

シヴァーナンダ・ヨーガのクラスはマントラに始まり、マントラに終わります。

「あの長いマントラ、いったいどうやって覚えたの?」とよく聞かれますが、
TTCの4週間、毎日唱えていたら覚えてしまいました。覚えるコツは
何度も聞いて、何度も唱えること。愚直ですが、これに尽きます。

マントラ(mantra)の「man」はマインド(心)、「tra」は守るという意味と
言われています。つまり、マントラとは「心を守る」言葉なんですね。

マントラは日本にも仏教を通じてインド、中国経由で”輸入”されていて、
日本語では「真言(しんごん)」と言います。ご存知の方がきっと多いのは、
般若心経の最後の、「ギャーテー ギャーテー・・・」でしょうかね。

gate gate paragate para-samgate bodhi svaha ・・・ Saskrit
掲諦 掲諦 波羅掲諦 波羅僧掲諦 菩提薩婆訶 ・・・ 漢字での音写
ギャテイ ギャテイ ハラギャテイ ハラソウギャテイ ボジソワカ ・・・ 漢字の読み

話をシヴァーナンダ・ヨーガに戻すと、
始めのマントラは「ディヤナ・スローカ」(別名:ガジャナナム)、
終わりのマントラは「マハー・ムリチュンジャヤ・マントラ 」(別名:トラヤンバカム)
と言います。

ダウンロードはこちらから:
シヴァーナンダ・ヨーガの始めと終わりのマントラ (PDFファイル)

ディヤナ・スローカもトラヤンバカムも、ウパニシャッドにある
いくつかのフレーズを組み合わせたものです。

このため、他のハタ・ヨーガの流派のインヴォケーションにも
同じフレーズが使われていたりします。

ディヤナ・スローカ(ガジャナナム)では神の五つの側面を
発動させるよう祈ります。レクチャーやクラス、個人的な修行
(Sadhana、サーダナ)の始めにも唱えます。

1.ガネーシャ(Ganesa):
シヴァとパールバティの息子。象の頭を持つ。
障害を取り除き成功へ導く。
別名:Ganapati、Vinayaka、Gajanana、Vigneshwara

2.スブラマンニャ(Subramanya):
ガネーシャの弟。勇気を与える勇敢な戦士。
別名:Murugan、Kartikeya、Shadanana、Guhan

3.サラスワティ(Saraswati):
学問、知識、叡智、芸術の女神。
日本では「弁才天」として知られている。

4.グル(Guru):
先生、導師。
私たちを指導してくれるように祈る。

5.ナラヤーニ(Narayani):
全知全能の女神。
諸説あり、ヴィシュヌの女神としての化身や
ドゥルガ(Durga)の別名という説もある。

一方、トラヤンバカムは生命を与えるマントラです。
長寿、健康、幸福、繁栄、解脱をもたらします。
病気や旅行の前に唱えますし、特に誕生日には
できるだけ多く唱えると良いマントラです。
最初の4行を3回、9回、27回、108回、繰り返します。

去年の4月14日、TTCの最終日がちょうど私の誕生日でした。
夜のサットサンガでその場にいた200人以上の人が私のために、
トラヤンバカムを唱えてくれたのは良い思い出です。

YouTubeで世界各地のアシュラムやセンターによってある、
「方言」みたいな、節回しの微妙な違いを聞き比べるのも楽しいですよ。

お手本になりそうなガジャーナナム先生のYouTube画像を紹介しておきます。
シヴァーナンダ・ヨーガ東京センターにも来日、指導されています。

始めのマントラ:ディヤナ・スローカ Dhyana Slokas

終わりのマントラ:マハー・ムリチュンジャヤ・マントラ Mahamrtunjaya Mantra

私がシヴァナンダ・ヨガTTCに参加したわけ

2012年3月から4月にかけて参加した
Sivananda Yoga Teachers’ Training Course
(以下、シヴァナンダ・ヨガTTC)について、
何回かシリーズで書いていきます。

1回目の今日はシヴァナンダ・ヨガTTCの目的について。

「ヨガのティーチャー・トレーニング・コースなんだから、
目的なんてヨガの先生養成に決まってるでしょ?」
と思ったあなた、それがちょっと違うんです。

最初のシヴァナンダ・ヨガTTCは今から43年前の1969年に、
インド人僧侶のスワミ・ヴィシュヌデヴァナンダ
(以下、スワミジ)によってカナダ東部の
ヴァル・モリンで開催されました。

それより少し前のこと、バハマ・ナッソーにある
シヴァナンダ・アシュラム・ヨガ・リトリートで
スワミジが瞑想していた時に見た、あるヴィジョンが
すべての始まりでした。

それは、巨大な火の玉が落ちてきて、人々が恐怖のあまり
逃げ惑っている、というヴィジョンでした。

スワミジはこのヴィジョンについてすぐに理解は
できなかったものの、当時の世界は冷戦の最中であり、
核戦争が実際に起こる可能性にさらされていたこと、
また過去の経験からして、彼が見たヴィジョンは
何らかの啓示であり、やがて現実になる可能性が
あることを直感したのでした。

このことから、スワミジはT.W.O. (True World Order)を
立ち上げ、世界平和の促進と理解を進めることを
その目的としました。

さらに、スワミジは、未来のリーダーをYogaの規律に
そって育成する必要性を痛感しました。

それは、自己を律することができ、内なる平和に
目覚めた人こそ、真の人類愛や平和を実現できるからです。
個々人の心の内が平和でなければ、社会全体にも
平和が訪れることはないのです。

こうしたことを背景に、シヴァナンダ・ヨガTTCは
始められたのでした。

私のシヴァナンダ・ヨガTTCへの参加目的は
ごくシンプルなもので「Yogaの学びを深めること」、
でした。

昨年1月にヨギー・インスティテュート
ベーシック・トレーニング・コース(BTC)を
受講した後、Yogaの学びをもっと深めたいと
思うようになりました。

その方法を模索するなかで、意識にのぼったのが、
シヴァナンダ・ヨガでした。

BTCのテキストだった「ヨーガ本質と実践」は
シヴァナンダ・ヨガをベースとしたものでしたし、
BTC仲間の一人がタイで開催されたTTCに参加したと
聞いたことも一つのきっかけでした。

昨年9月頃からシヴァナンダ・ヨガ東京センター
行くようになり、インドで開催されるという、
日本語サポート付きTTCが視野に入ってきました。

1ヶ月もの間、仕事を休めるかどうか躊躇もして、
かなり考えましたが、最終的には「今、行くべきだ!」
という心の声に従って参加を決めたのでした。

インドでのTTCが始まってすぐ、メイン・レクチャーで、
スワミジの生涯と共にTTCの本来の目的を聞いた時、
腑に落ちた感覚がありました。

ここ数年、Socialな活動に関わるなかで、目指していた
究極の目的は「平和な世界をつくること」でした。

ここでいう「平和」には、おそらく様々な定義が存在します。

goo辞書による定義は、

1 戦争や紛争がなく、世の中がおだやかな状態にあること。また、そのさま。
2 心配やもめごとがなく、おだやかなこと。また、そのさま。

だそうです。

私が思う「平和」は、人が明日への希望をもって
生きることができ、自分自身にも日々の暮らしにも
満足している状態です。

私もそんな平和な状態に一歩ずつでもいいから
近づくための一助に微力ながらでもなりたいと願い、
活動してきました。

一昨年、がんばり過ぎてバーンアウト寸前になり、
Socialな活動への関わりを控えるようになって以来、
良心の呵責を感じ続けていました。

Yogaを学ぶこと伝えることも、平和を広げる方法
なのだととらえることで、ずっと抱えてきた心の重荷を
手放すことができたのです。Yogaを学ぶことを
自分で承認できた、とも言えますね。

今思い返すと、意図していなかったとはいえ、
このことだけでもTTCに参加した目的を
果たせたように思います。