[Book]「日本でいちばん大切にしたい会社」

西水美恵子さんが「国をつくるという仕事」のあとがきで
推薦していらした本、「日本でいちばん大切にしたい会社」を
読みました。

以前からこの本は素晴らしい!と評判を聞いていたものの
何となく見過ごしていたのですが、これまた色々考えさせられる
ところが多く、このタイミングで読んで本当に良かったです。

この本に取り上げられている5社はCSRやワークライフバランス、
社会的企業といった概念や言葉が話題にのぼる以前から、
実際にそれらの考えを経営に取り入れ実践していた
先駆的な企業です。

とは言え、派手さとは無縁で、実直にひたすらに地道に、
失敗からも学びながら経営を実践されてきたからこそ、
「日本でいちばん大切にしたい」と言われるのだと感じました。

この本のなかで、会社経営とは『5人』に対する使命と責任を
果たすためのものとしてあげられているのが、次の人々です。

1. 社員とその家族
2. 社外社員(下請け・協力会社の社員)
3. 現在顧客と未来顧客
4. 地域住民、とりわけ障害者や高齢者
5. 株主・出資者・関係機関

私自身が働いてきた会社で、この5人を幸せにできているかを
振り返ってみると、悲しいかな、多くは無かった気がします・・・。

もし、営利会社でなく、非営利組織にこれを当てはめてみたら、
どんな人たちに使命と責任を果たすべきなのかというと、
順番は付けられませんが、こういう人たちが考えられます。

・職員(有償)とその家族
・ボランティア・メンバー(無償)
・役員(理事・監事)
・現在の受益者と未来の受益者
・正会員・賛助会員
・支援者・寄付者

理事をしているbridgeや、NPO法人立ち上げに関わった
セブン・ジェネレーションズに当てはめてみると、
まだまだだし、だからこそ目指していきたい!と思います。

日本でいちばん大切にしたい会社」は、リーダーシップの
観点から読むこともできます。経営に興味が無かったとしても、
読むべき価値の高い本です。

日本でいちばん大切にしたい会社
坂本 光司
4860632486

日本でいちばん大切にしたい会社2
坂本 光司
4860633733

「できること。」を超える

前回の記事『「いま、○○にできること。」にできないこと』を
UPして以来、問いを持ち続けていたら、見えてきました!

私の居心地の悪さの原因は、「いま、○○にできること。」
というフレーズが句点(まる)で終わっていることに由来する、
閉塞感や制限あるいは限界にあることに気づきました。

「できること。」と言い切ってしまうと、みずから可能性の
限界や制限を設けて、これ以上のことはしませんできません、
と宣言しているように、私には感じられるのです
(私だけかもしれませんが)。

少なくとも、東日本大震災や原発事故の被災地の支援は、
「まる」を付けて終わらせてしまえるようなものだとは
思えません。ここまでやれば、はい、終わり、といった
ものではないのです。

むしろ、「今、私たちにできることは何だろうか?」と、
絶えず問い続けていくもののはずです。

このことは社会的課題への取り組みと同じで、
中期的展望に立ち、受益者の要望や社会環境の変化に
柔軟に対応し、PDCAサイクルをまわしながら、その時点の
リソースで実行できる支援策を実践し続けていくと、
何かしらの成果が生まれてきます。

翻って、私たち個人も、まずは自分自身が担っている
仕事をつとめたうえで、自分にできることは何か?
どのように?いつ?誰と?どこで?と、
ひたすらに問い続け、行動に起こしていくのです。

そうすることで、「できること。」の限界は超えていけるん
じゃないかと思います。