「ディーパンの闘い」と「難民大移動」

映画『ディーパンの闘い』 を観に行ってきました。

タミル系スリランカ難民が主人公、しかも去年のカンヌ国際映画祭で賞をとった時から気になってたから、Yoga for R!言い出しっぺのわたしとしては観るしかないっしょってことで。

なんとも言えない後味が残る映画でした(タミル語とフランス語の映画だからわかりにくかった、ということもありますが)。2月28日夜放送のNHKスペシャル「難民大移動 危機と闘う日本人」と合わせて考えるとますます割りきれない思いがこみあげます。

難民について中途半端に知ってるもんだから、エンタメとして楽しむわけにいかなくて、ストーリー以外のことも気になってしまい、特に日本に逃れてきた難民と比べながら観てしまいました。

偽パスポートを使いまったくの他人どうしなのに妻と娘の3人家族としてフランスに逃れてきたディーパンはたいして調べられずに難民認定を受けられ、場末のアパートとは言え生活の場も仕事にもありつきました。働ければ収入もあるわけで、家の中にだんだんと家財道具が増えていきました。

そして、タミル系もガネーシャをお祀りしてるとか、フランスにいても食事はご飯とカレーでやっぱり手食とか、小学校にはちゃんと外国人クラスがあるんだなとか、そんなことも気になっちゃいました。フランスという国家の複雑さ、特に旧植民地出身の国民がいるからこその社会構造にもまた興味がそそられました。

まずは死なずに生きていられる、それだけでも幸せ。でも、一つ満たされると次を求めたくなるのも人間なんだな・・・とか色々と考えてしまいます。悶々・・・

jazzのように生きるにはー『9番目の音を探して』

ジャズを聴いてると予想を軽く裏切られることがよくあります。人生もまた同じ。

何の気なしに手に取った『9番目の音を探して 47歳からのニューヨークジャズ留学』。副題に尋常ならぬものを感じて読んでみたら、結構な分厚さなのにやめられないとまらない面白さでした。

この本は大江千里さんがシンガーソングライターとしての二十数年のキャリアを投げ打ち、ニューヨークで留学生として一からジャズを学び直した4年半の壮絶な記録です。

80年代から90年代にかけてヒット曲を連発していた大江さんがジャズピアニストに転身した、ということは新聞で読んで知っていました。こんなふうに書くとたった一行におさまってしまうのが申し訳ないくらいに、その転身の裏には汗と涙と根性と夢にかける情熱がぎっしりと詰まっていたのです。

10代や20代ならエイヤっと飛び込んでしまえるかもしれないけど、40代後半ともなるとそう簡単にはいかない・・・。なんていうわたしの思い込みは良い意味であざやかに裏切られました。もちろん簡単とは言えないまでも、不可能ではないのですね。

地位や名声を得て成功を味わってしまうと挫折や失敗が怖くなります。「ジャズをやってみたい」そんな願いに導かれ、かつてスターだったプライドをかなぐり捨て、基本のキから体に叩き込んだ大江さん。ジャズという瞬間の芸術を奏でるミュージシャン達はこんなにも泥臭く汗みどろの練習を経てきたのかと思うと、尊敬するしかありません。

先生やジャズ仲間との出会いと別れも描かれています。互いに触発され高め合い、時には激しく落ち込み、そうした揺さぶりすらも糧にしていく様には励まされました。

読みながら親近感が湧いたのは、大江さんの愛犬「ぴ」。昔、我が家でも「ピー」という雌のダックスフントを飼ってたのです。同じような名前をつける人がいるとは意外でした(笑)

ジャズをよく知らなくても、この本に紡がれた彼の生き様から教わることは多いはず。一読の価値ありです。